100兆円を公共事業に投資せよ ~震災復興を進め、ダム・道路の増強を目指せ~

100兆円を公共事業に投資せよ

~震災復興を進め、ダム・道路の増強を目指せ~

京都大学大学院教授 藤井聡


「公共事業が日本を救うんです」

静かな京都の自宅で、藤井教授が断言する。なぜ公共事業が必要なのか。
「増税や公共事業の削減は、デフレのときには絶対にやってはいけない。それは病気でガリガリにやせているときにダイエットするようなものです。景気はますます悪くなる。財政を再建したかったら、経済を成長させて税収を上げるのが近道です。公共投資をきちんと計画的にやれば、経済が成長し、GDPが拡大して税収が増える」

どんな公共事業をすべきなのか。

「まずは震災復興で、次が巨大地震対策。地震による東京、大阪、名古屋の被害額は200兆円と言われているから、とりあえず10分の1の20兆円を防災に投資する。大都市が破壊されたときのために地方の活性化が必要で、そのためには新幹線がいる。これは10兆円あれば十分でしょう。日本は道路大国といいますが、じつはクルマ1台あたりの道路の長さは先進国のなかで最低なんです。高速道路の車線数も先進国最低。慢性的な渋滞による経済損失も大きいから、道路整備は重要です」

港の整備も必要という。’80年に世界4位のコンテナ取扱量だった神戸港が’08年には44位。東京港が24位、横浜港が29位で、1位のシンガポール、2位の上海に大きく水をあけられた。

「その原因の一つに港の水深がある。日本でいちばん深い横浜港の水深は16㍍。あと2㍍深ければ大型船が接岸できますが、水深が足りないため、日本に来る大型船は釜山で荷物を積み替えてから日本に来る。国際競争に完全に出遅れているんです」

こうした公共事業に必要な投資額は、年間10兆円、10年で100兆円というのが藤井教授の試算だ。

「景気回復したら年20兆円出してもいい。じつはこれでも’96年の50兆円の半分以下です。民主党の『コンクリートから人へ』では国が亡びるんです」

乱開発を進めた’70年代の列島改造ではなく、目的のある「日本強靭化」こそ日本再生の鍵なのだ。

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