実質的には不平等条約

11月 30, -0001 by 未分類 No Comments

毎日新聞,2012年12月7日

実質的には不平等条約

藤井聡・京都大学大学院教授

TPPは関税だけでなく,非関税障壁も取り除いて自由貿易を拡大する狙いがある.非関税障壁とは各国が独自に決めた法律や規制のことだが,それをグローバルスタンダード(世界標準)にあわせようというのがTPPの基本的な考え方.ほとんどは米国の制度なので,日本は多くの変更を迫られる.

代表的なのが食品や医療品の安全規制だ.規制のハードルが下がれば,米国の遺伝子組み換え食品や医薬品がたくさん入ってくるようになる.金融サービスや政府の公共事業のように外国資本の参入が進んでいない分野や,投資規制も同様だ.企業は多額のコストをかけて各国の規制にあったビジネスをしているが,その必要がなくなれば米国企業が日本にどんどん入ってくると危惧される.

日本は今,不況だ.会社はたくさんあるのにお客さんが少ない状態.米国から多くの大企業が入れば,日本の中小企業は潰れてしまう.高率の関税で守られてきた農業分野の打撃も大きく,デフレが深刻化する.形式上は平等でも,実質的には不平等な条約だ.日本人の幸福,国益につながるとは思えない.

賛成派はTPPでアジアの成長を取り込むというが,巨大市場を抱える中国が参加しない現状では期待できない.尖閣諸島の問題を根拠に(日米同盟を強化する必要から)TPP推進を主張する論客もいるが,軍事と商売は別物.是々非々で議論すべきだ.