不況を終わらせるには,国内最大の経済主体である政府がカネを使うべき

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日刊ゲンダイ 2012年10月26日


日本経済の「虚」と「実」~新聞報道に騙されるな!~⑰

不況を終わらせるには,国内最大の経済主体である政府がカネを使うべき 


京都大学大学院教授 藤井聡


今の日本は,大変な不況に苛まれている.どの業界の人も業績がなかなか上がらない.なぜかと言えば要するに,どんな業界の人も「客が少ない」からであって,だからみんな儲からなくなってしまっている.で,みんな儲からないから,みんなオカネを派手に使えない.みんながオカネを派手に使わないから,結局はまた全ての業界でますます客が少なくなっていく.

これがいわゆる「デフレ・スパイラル」だ.

で,このスパイラルを止めるために何が必要かと言えば,要するに「客が増やす」ということだ.客がたくさんいて,たくさんオカネを使ってくれさえすれば,どの企業も業界も儲かるようになっていく.そうすると,みんなオカネを使うようになって,結果,景気が良くなっていく.

では,どうやればお客が増えるのか.

繰り返すが,デフレの状況では,みんな業績が不振だから,みんな派手にはオカネを使わない.だから,あの手この手で民間の消費や投資を刺激しても,さして客は増えない.実際,デフレ不況になってはや15年が過ぎたが,その間政府は,改革だ,特区だ,金融緩和だとあの手この手の取り組みをやってきたものの,それらは悉く失敗し,未だにデフレは終わっていない.

でもたった一つだけ,もの凄く効率的かつ簡単に「お客を増やす」方法がある.それは,国内最大の経済主体である「政府」自身がお客になるという方法だ.

これこそ,デフレ不況対策として「財政政策」が求められる基本的な理由だ.すなわち,デフレ下では何をやってもさして客が増える事がない以上,政府自身が巨大なお客となる「財政政策」が是が非でも求められるのである.

しかし,この簡単な論理を多くの経済学者やエコノミスト,政治家が理解していない.現政権の民主党や橋下維新がその典型だが,財政政策以外のあらゆる経済対策を声高に主張するものの,どういう訳か「財政政策」というこの四文字熟語だけは絶対に口にしないのである.

まったくもって愚かとしか言いようの無い話なのだが,財政政策を忌み嫌い続けてきた結果として日本の10年や20年が「失われ」続けてきたのである.そろそろ日本国民は,この自明の事実を理解しなければならない.さもなければ我々は日本国家そのものを失い兼ねない様な非道い状況に,追い込まれつつあるのである.