藤井聡:巨大地震Xデー

12月 13, 2013 by 未分類 No Comments

    メ ガ ク エ イ ク
巨大地震Xデー
~南海トラフ地震、首都直下地震に打ち克つ45の強靱化プログラム~

 

巨大地震Xデー

 

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【目次】

Chapter1 今そこにある危機を再認識せよ!

Chapter2 45の、起こしてはならない最悪の事態

Chapter3 どうすれば最悪の事態を起こさないようにできるのか

Chapter4 マスコミ・学者・大衆が作る空気を疑え!

 

~『あとがき』から~

「覚の士,不覚の士という事軍学に沙汰有り.覚の士というは,事に逢ふて仕覚えるばかりにてはなし.前方に,それぞれの仕様を吟味し置きて,その時に出合ひ,仕果するをいふ.・・・毎朝身心をしずめ,弓,鉄砲,槍,立ち先にて,すたすたになり,大浪に討ち取られ,大火の中に飛び入り,雷電にうちひしがれ,大地震にてゆりこまれ,数千丈のほきに飛び込み,病死,頓死(とんし)等の死期の心を観念し,毎朝懈怠(けたい)無く死しておくべし.」

この言葉は、つい先日(平成25年11月)、衆議院の災害対策特別委員会にて参考人としての意見を求められた折りに、筆者がその冒頭で紹介した、「葉隠」からの一節である。
現代語に訳すと、こうなる。「軍学には、『覚の士』『不覚の士』という区別がある。覚の士というのは、事が起こってからどうするかを考えるのではない。改めて、何が起こるかをイメージし、それぞれに対してどう振る舞うのかをしっかりを考え、事が起こったときに、その予め考えておいたやり方で対応をするのが『覚の士』なのだ。・・・毎朝心身しずめ、弓、鉄砲、槍、刀にてずたずたに切り刻まれ、大浪、大火、大地震に襲われ、数千丈の崖から落ち、病死、頓死など、死ぬ瞬間をイメージし、毎朝怠りなく死しておくべきなのだ」
―――本書をここまでお読み頂いた方なら、こうした「覚の士」の精神こそが、「国土強靱化」の「要諦」であることをご理解いただけているのではないかと思う。

我が国は、『覚の士』なのか『不覚の士』なのか――もしも多くの国民が、本書で仔細に述べた、巨大地震Xデーで起こるであろう数々の深刻な事態を「懈怠けたい無く」イメージしているとするなら『覚の士』と呼べるのであろうが―――ここで改めて指摘するまでも無く、我が国は残念ながら、そうした状況からは著しく乖離している。
 我が国は今日、『不覚の士』に他ならないのだ。
そうである以上、来たるべく巨大地震に対する備えが不十分なまま、そのXデーを迎え、ただただ「あたふた」と慌てふためき、二度と立ち上がれない程の凄まじい被害を受けるのは必定なのだ。だから不覚の士が易々と敵に敗るように、我々は巨大地震にいとも容易く敗れ去る他無い――。
本書はそうした諦念を伴う切迫した危機感の下、日本国民が、そして日本国家そのものが、巨大地震によって如何にして死に、如何にして潰れるのを懈怠無く想像できる『覚の士』とならん事を祈念しつつまとめたものである。
だからこそ筆者は、日本国家の政・産・官・学のそれぞれの分野で枢要な役割を担う人々をはじめとしたあらゆる国民に本書に目を通して頂き、まさに事が起こったその日の惨状を「懈怠けたい無く」想像いただきたいと、心から強く念じている。

―――おりしも本書を書き終えた直後、平成二十五年十二月四日、本書でも紹介したいわゆる「国土強靱化基本法」が成立した。
これは我が国にとって、誠に目出度い、文字通りの慶事だ。
この基本法があり、そして我が国が法治国家である限りにおいて、政府は、そして総理は、あらゆる危機による惨状を懈怠無く想像し、それに対する備えを粛々と進めていく「義務」を負うこととなったのである。つまり、政府は「覚の士」たらねばならぬ事が義務化されたのである。
しかし、「日本国家」という一億二千数百万人の家族を擁した大家族において、その家長たる中央政府がなし得る力は、限られている。どれだけ家長がその家全体の強靭化を果たそうとも、その家族たる国民が「不覚の士」であり続けるのなら、国家それ自身が強靭化されるはずもない
しかも、我が国が民主的政体を採用する以上、その国民の気風こそが、中央政府の方針を規定する。そうである以上、国民が不覚の士であるのなら、早晩、中央政府もあらかた「不覚の士」とならざるを得ない。そうなればいかに基本法が存在していたとしも、十分な財政や人材が投入されないままに、「形骸化」した強靭化の取り組みがダラダラと続けられていくだけになろう。
そうであるからこそ、強靭化基本法が成立した今こそ、一人でも多くの国民が、不覚の士である自らを省み、覚の士とならんとする意志を持たねばならないのである。本書はまさにその認識に立ち、この度の基本法の成立にあわせ、覚の士たらんとする日本人達全員に向けて書かれたものなのである。

本書で紹介した内閣官房での国土強靱化の取り組みは、安倍晋三内閣総理大臣、古屋圭司国土強靱化担当大臣を中心とした内閣官房の国土強靱化推進室の面々が、自由民主党の二階俊博会長を中心とした国土強靱化総合調査部会との綿密な連携の下、昼夜を問わず真剣に取り組んだ努力があってはじめて、この世に存在するに至ったものである。そして、その内容をこういう形で世に知らしめることができたのも、光文社の坂口貞雄氏に様々な尽力あったればこそであった。
ここに記して、「不覚の士」から「覚の士」へと我が国を脱却させんと尽力しておられる、こうした全ての方々に改めて深謝申し上げつつ、本書を終えることとしたい。

内閣官房参与室にて 藤井聡

(なお,本書の印税は全て,日本国の強靭化を祈念しつつ東日本大震災の被災地に寄付したい)