本文へスキップ

English

TEL. 075-383-3235

〒615-8530 京都市西京区京都大学桂Cクラスター

研究紹介RESEARCH

当研究室の研究内容

当研究室では,安全・安心・かつ快適な交通を実現し豊かな社会へ貢献するため,道路上や街中で日々身近におきる交通現象を分析し, 社会資本整備や交通政策が交通環境や都市環境に与える影響を評価,さらに新たな対策を立案する研究を行っています.

下記が,以下に進めている研究テーマの一部です.

 ・道路交通情報提供の有効性に関する研究・分析

 ・震災時の避難行動のモデル化,施策評価

 ・ICカードデータを用いた交通行動分析

 ・ドライビングシュミレータによる車両挙動解析,情報提供効果分析

 ・車両軌跡データを用いた交通行動分析

 ・交通需要予測モデルの構築

 ・道路交通ネットワークの信頼性解析

 ・交通手段利用特性に関する研究・分析

 ・交通事故発生要因の解析

 ・旅客流動の時系列分析

 ・マクロ・ミクロ交通流シミュレーションの開発・評価


以下に,いくつかの研究テーマについて,概要を説明します.


【ICカードデータを用いた機械学習による降車人数推計手法の研究】

 交通事業者にとって,新たな路線計画策定やダイヤ 改正といったサービスを展開するためには,利用者の移動実態(OD等)を把握することが重要です.このような情報は近年利用率が高 まってきたICカードデータを用いることで,得られるようになってきました.しかし,バスに関しては,京都市バスも例に挙げられるよ うに,均一料金制度という料金制度が存在します.この均一料金区間では,バス乗車時もしくは降車時のみICカードをタッチするため, 停留所別の乗車人数もしくは降車人数のいずれかのデータしか取得できず,ODまでは把握できないという問題があります.
 そこで本研究では,均一料金制度を採る路線バス 区間では乗車時のみICカードをタッチするという仮定のもと,停留所別降車人数の推計を試みました.推計手法としては,これまでバス 交通のOD把握等には適用されていない機械学習(ベイジアンネットワーク,ニューラルネットワーク)を用いました.これによって,全 ての人が往復で同一停留所を利用するという仮定をしたモデルと比較して,推計精度が向上しました.本研究の成果としては,バス事業者 がODを把握する一助となり,公共交通利用促進施策への貢献等が期待されます.







【SP調査を用いた豪雨情報提供時の経路選択行動に関する研究】

 次世代VICSサービスとして今後導入が期待される豪雨情報提供に着目し,豪雨発生の際のドライバーの安全性を向上させることを目的として,豪雨情報を提供することでドライバーの経路選択にいかなる影響を及ぼすかについて分析しました.方法としては,Webアンケート調査を実施しその中で運転に関するアンケート,経路選択SP調査を用いました.この調査により集計した経路選択データを用いて多項ロジットモデルとして経路選択モデルを推定し,統計的検証を行いました.
 その結果,豪雨範囲情報を提供することで,危険箇所を回避するような経路選択を促す影響を与えること,豪雨範囲情報に加えて冠水注意情報・経路誘導を表示することでさらにその影響が強くなることが示されました.ただし,豪雨範囲を考慮しない経路誘導を表示した場合には,ドライバーがかえって危険にさらされてしまう可能性があることや,また道路のいずれかの地点が冠水する可能性が高いと認識している道路については,その道路を避ける傾向にあることが考えられます.本研究の成果は今後の豪雨情報提供を行う際の有益な知見となると期待されます.







【世帯環境とネガティブな経験に着目した交通手段利用特性に 関する研究】

 個人の交通手段利用の背景には,交通サービス水準だけではな く,各交通手段に関する経験やコミュニケーションといった内在的な要因も影響しているという観点から,個人の幼少期の交通環境および 世帯内のコミュニケーションと経験に着目した交通手段利用の要因分析を行いました.
 本研究では,公共交通のサービスレベルの異なる4ヶ所の調査エリアを選定し,各エリアで交通手段利用状況,各交通手段に対する認識・経験に関するアンケー ト調査を行い,調査結果をもとに要因間の分析をしました. 分析の結果として,個人の幼少期 の交通環境および世帯内における自動車や公共交通に関するコミュニケーションが,現在の交通手段利用に影響を与えていることが示されまし た.また,ネガティブな経験については,経験する出来事の頻度に応じて,自動車,公共交通に関する満足度が低下することが示された一方 で,現在の交通手段利用への直接の影響は検証できませんでした.







【交通機関選択肢集合の異質性を考慮した分担配分統合モデルの構築】

 ある交通施策を導入するにあたり,その効果や他交通機関への 影響を評価するための1つの手段として,分担配分統合モデルが用いられています.しかし,今現在提案されている分担配分統合モデル は,簡便性を重視し,旅行者がそれぞれの交通機関の移動コストに基づき利用する交通機関を選択するという前提のモデルであり,その選 択規範は全利用者で一律として設定され,交通機関の選択に対する嗜好性の違いは十分に考慮されていないと言えます.
 今後,人々が多種多様な生活スタイルを送るような社会を迎えるにあたり,このような旅行者の嗜好性やコス トに対する感度を考慮した交通計画を策定することが重要となってくると思われます. 本 研究で構築したモデルは,多様な利用者に対して多様な交通施策の評価・検討に活用されることが期待されています.







【ビデオ画像から取得した車両軌跡を用いた高速道路における車両挙動モデルの構築】

 情報処理技術の発展とともに詳細な車両走行データが手に入るようになり,様々な評価を行うためのミクロで精度の高い車両挙動再現のニーズが高まっています.本研究ではビデオ画像から抽出した車両軌跡を用いて,特に複雑な挙動が観測される高速道路合流部におけるモデリングを行っています.
 本研究で構築するモデルでは,車両挙動の複数のモードを扱っており,車線を推移する合流や車線変更に関しては,下図に示す,大きく分けて3つのモード(通常・準備・推移)を考慮しています.ドライバーは周囲の車両との速度調整等の車線変更の準備を行った後に,実際の車線推移に入るという既存研究を踏まえた仮定に基づいたモデルとなっており,潜在的なモードの変化と顕在的な車線推移の開始・終了時点,加えて,各モードに適した車両の加速度が出力できます.また,モデル中の全てのパラメータが車両軌跡から最尤推定できる枠組みを構築し,パラメータ推定を通して,本モデルが既存のモデルの多くの問題点を解決できることを確認しています.







【ドライビングシミュレータを用いた高速道路合流部における情報提供時の行動分析】

 高速道路合流部では,複数の車両が錯綜することから,多くの事故が発生しており,交通事故を抑制するための施策が求められています.本研究ではドライビングシミュレータ(DS)を用いて,阪神高速淀川左岸線を模した道路において,ドライバーが円滑かつ安全に合流部を走行することを目的に,ドライバーに他車両の存在を知らせるための情報提供を行い,その車両挙動の分析を行いました.
 下図に示すように情報板が点滅することで他車両の存在を知らせる装置(タイプ1)と複数の情報板が接近車両に合わせて点灯し,他車両の存在と位置を知らせる装置(タイプ2)の車両挙動分析の結果,情報提供装置の違いにより,ドライバーの平均速度が異なることがわかりました.このようにDSを活用することで,実道路では事故の危険があり,実験できないような場面を設定し,評価を行うことができます.







【高速道路サービスエリア駐車場の混雑度の時間的空間的な変化に関する分析】

 東名高速道路海老名サービスエリアにおいて,画像観測により,全駐車マスの車両検知したデータを用いて,駐車場内の混雑の時間的・空間的な変化を分析し、短期的な混雑度予測モデルを構築しました.
 モデル推定の結果より,対象ブロック近傍の駐車ブロックの混雑の影響が,ある時間遅れをもって伝播すること,および,対象ブロックの1時点前の混雑率が有意に大きな影響を及ぼしていることを確認しました.
 本研究の成果は高速道路サービスエリア駐車場の混雑緩和や利用効率の向上へと寄与することが期待されます.







【ゲーム理論を用いたリスク回避型補強リンク決定モデルの構築】

 2011年の東日本大震災において道路網が甚大な被害を受け,その後の救出・復旧活動にも大きな影響を及ぼしました.地震をはじめとする自然災害が多い我が国では,災害による被害を最小限に抑える道路補修計画を事前に立てることが求められています.
 本研究では,予算制約内で災害等によるリンクの被災に対して,最悪の被害を想定してあらかじめ補強すべきリンクを決定するモデルを,下図に示す2段階最適化問題として構築しました.上位問題では,被害を最大化するように攻撃するリンクを決定するdemonと,被害を最小化するように防御するリンクを決定するplannerの行動をゲーム理論により記述しました.下位問題では,攻撃・補強するリンクが所与のもとでの移動者の行動を利用者均衡問題により記述しました.
 本研究で構築したモデルは,災害等によるリンク被災による被害を最小化するための補強計画に活用されることが期待されています.







【ドライビングシミュレータを用いた車両挙動のモデル化と情報提供時の行動分析】

 合流部や信号交差点等の車両が錯綜,また交通事故に繋がり得る環境下における車両挙動解析や新たなITS技術の評価を目的に,ドライビングシミュレータ(DS)を用いた研究を進めています.京都大学に設置されているDSでは,VR空間内で180度以上の視野を確保し,ドライバーが実際に経験する加速度を体感することができます.加えて,運転席でのハンドル,アクセル・ブレーキ操作によるデータを精緻に収集し,研究に利用しています.
 実験例として,下図に示すように情報板が点滅することで他車両の存在を知らせる装置(タイプ1)と複数の情報板が接近車両に合わせて点灯し,他車両の存在と位置を知らせる装置(タイプ2)の車両挙動分析の結果,情報提供装置の違いにより,ドライバーの反応,特に平均速度の面で異なることがわかりました.







【自動車利用を考慮した津波避難計画モデルの構築と避難施策に関する研究】

 平成23年度3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震による津波災害を契機として,大阪湾沿岸部の地域でも津波災害への対策が必要とされています.研究室では,避難手段として自動車利用がどの程度許容されるのか,また高齢者をはじめとした災害時に援護を必要とする人をどのように避難させれば良いのかについて焦点を当てて,避難計画モデルの構築,ならびに構築したモデルを用いた避難施策の評価を行っています.「阪神高速道路を避難所として活用する施策」と「コントラフロー(道路を一方通行化する)施策」の2つを施策について,避難計画モデルに適用して影響を評価した例として,下左図が施策別の避難総時間,下右図が避難完了率です.施策を導入することで,避難人数・時間が減少し,早期に避難完了する人の割合が高くなることがわかります.
 本研究の成果は今後行政などが津波避難に対する避難施策や避難計画策定する際の一助となることを目指しています.







【交通系ICカードデータを活用した公共交通利用者の特性把握と利用者実態の可視化】

 ICOCA,PITAPAなどの交通系ICカードを利用してバスや鉄道等の公共交通に乗降車できる環境が日本全国で整い始めており,その利用者数も年々増加しています.従来の交通乗車券である切符や磁気カードの利用と比較して,交通系ICカードは,利用日時や利用駅(停留所)などがデジタル化された膨大な量のデータとしてリアルタイムに収集することができ,公共交通の利用状況把握を始めとする交通計画へと活用が期待されています.下左図は,鉄道駅に隣接した大規模商業施設開業前後の鉄道の利用者数の変化を示した図です.商業施設開業により,鉄道利用者が増加したことがわかります.また,利用者の増減を開業前後で比較し,地域別に視覚化したものが下右図です.図からは,どの地域で,利用者が増減しているかが把握できます.
 このように日々収集されるICカードデータを活用することで,人々の動き(鉄道利用者)を解析することが可能であり,その状況を可視化することを通じて,利用促進等に向けた効果的な施策の検討を行っています.







バナースペース

京都大学大学院交通情報工学研究室

〒615-8530
京都市西京区京都大学桂Cクラスター

TEL 075-383-3235
FAX 075-383-3236

mail