藤井聡:コンプライアンスが日本を潰す~新自由主義との攻防~

コンプライアンスが日本を潰す  

~新自由主義との攻防~ 

 

藤井聡 著 

 

今まさに、急速に「日本という一つの国」が潰れようとしています。

 

日本という国は、長い時間をかけて、途中でどこかの国に潰されたり支配されたりすることなく、今日まで「一貫」した歴史と伝統と文化を紡ぎ続けてきました。ところが、まさに今、この長い歴史とそれに裏打ちされた伝統と文化をもった「日本」という国が、本当に急速に、潰れようとしています。

もちろんそれは、この日本列島が完全に破壊されたり海の底に沈んだりすることを言っているのではありませんし、この極東の島で生まれた「ニホンジン」が全滅してしまうということではありません。恐らくは、この日本列島はこれからも残っていくでしょうし、ニホンジンも、これから長らく生き続けていくことだろうと思います。

ここで、「潰れようとしている」と申し上げているのは、「長い歴史の中で一貫して守られてきた日本」です。つまり、例え同じ生物的な遺伝子を持ち、この極東の島に生息していたとしても、歴史も文化も伝統も何もかも昔と入れ替わってしまったとしたら、もうそれは、生物学的に「ニホンジン」と言うことはできても「日本人」とは言えません(それは、昔のアテネの民と今のギリシャ人が違うのと同じことです)。同じように、そんなニホンジンばかりの国になってしまったのなら、その国はもう「日本」とは呼ぶことのできない、例えば、「ニッポン」とでも呼ぶべき国になってしまうでしょう。

・・(中略)・・その崩壊に大きく貢献しつつあるもの────それが、「コンプライアンス」なのです。

 

~以上、『はじめに』より 

 

 

本書は、多くの日本国民の安寧を考えたとき、新自由主義やそのイデオロギーに基づく法令に対するコンプライアンスからレジスタンスへ、すなわち服従から抵抗への転換が何にもまして求められているのであって、それこそが福沢諭吉が主張した「一国独立す」の精神なのだということを主張するものでした。

ひょっとすると、多くの国民はこうした「結論」だけを目にすると、何やら極端な主張だと感ずるのかもしれません。

しかし、虚心坦懐、真っ白な気持で先入観なく本書をここまでお読みいただいた方々は、上記結論について「確かにその通り」との印象をお持ちになるのではないかと、筆者は考えています。なぜなら、丁寧に一つずつ論理を積み重ねれば、上記結論は誰も否定できないような至極当たり前のものだからです。

ですから筆者は、仮に本書が数十万人、何百万人という人々に真剣に読まれる様なことがあれば、法令遵守やコンプライアンスを無邪気に是認したり、現行法令の背後に横たわっている新自由主義のイデオロギーを闇雲に礼賛する様な風潮がこの国から消え去り、その代わりに、日本国民が自らの手で自らの価値観に照らして公正な法律システムを作り上げていく気風が生まれるに違いなかろうと考えています。

 

以上、『おわりに』より

 

扶桑社:「コンプライアンスが日本を潰す~新自由主義との攻防~」ページ

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